航空無線には興味があるが、どうも難しそうだ、という方のための初歩講座です。
大阪(伊丹)空港での交信シミュレーションを例にとって解説していきます。
初歩講座ですので、ここでは「管制塔〜パイロット」の交信しか解説しません。
ApproachやDeparture,Groundなどには触れません。
専門用語の解説も最小限にとどめました。
とにかく管制塔(Tower)の離着陸指示を聞き取ることが目的です。
「はじめの第一歩」です!
< 着 陸 編 >
さあ、まずは着陸の交信です。無線機の周波数を118.10MHzに合わせましょう。
管制塔(タワー)とパイロットの会話が聞こえてきます。(例文はすべてフィクションです。)
基本的には、これだけの交信で着陸してきます。いたってシンプルです。
では、簡単に解説していきます。
(1)大阪空港に近づいた飛行機は、必ず管制塔に連絡を入れます。
そのタイミングは、「イコマ・ポイント」(生駒)または「ミドウ・ポイント」(御堂)です。
まず大阪管制塔に呼びかけ、次に自分の便名を名乗ります。
(2)管制塔は、その飛行機に対して次の報告指示を出します。
アウターマーカーというのは、無線標識の事で、進入コース上のポイントの1つです。
(3)イコマ・ポイントを通過して約3分後、アウターマーカー上空から報告が入ります。
便名を名乗り、「アウターマーカー」と言うだけのシンプルな報告です。
ここまで来れば、もう千里川土手からハッキリと目視できます。
(4)さあ、いよいよ着陸許可です。
通常の北風の時は、32レフト滑走路か32ライト滑走路。
まれに南風が強い時は、14レフト滑走路か14ライト滑走路に許可を出します。
この流れが、基本中の基本です。
無線連絡は突然飛び込んできますが、あわてる事はありません。
航空無線は、必ず「復唱」しながら意志の疎通を徹底させますので、
始めの方を聞き逃しても、もう1度同じ内容を繰り返してくれます。
それでは、少しだけバリエーションを紹介します。
(5)イコマ・ポイントまでの距離を言っています。内容的には、上記(1)と同じです。
(6)管制塔からの進入続行指示です。continueは、続けるという意味です。
(7)ミドウ・ポイントまで来れば、天候によっては目視可能です。
(8)管制塔が風向きと風速を伝えています。長い文章ですが、前半が聞こえれば充分です。
(9)overという言葉がつきましたが、内容は上記(3)と同じです。
(10) 32レフト滑走路へ着陸許可が出ました。3000mの長い滑走路です。
(11) 着陸機に対して、どういう経路を地上走行するかを指示しています。
さらに、グラウンド管制官と交信するように指示を出しました。
この後、グラウンドの指示でスポットへ進みます。
「ウィスキー」というのは、アルファベットのWの事です。
聞き間違いが無いように、こういう言い方をします。
* 滑走路を横切るというのは、非常に珍しい走路です。大阪空港の特徴の1つです。
他の空港では、crossという単語はなかなか聞く事ができませんよ!
以上が、着陸機と管制塔の会話の骨子です。
無線に「アプローチ」、「イコマ」、「ミドウ」、これらの単語が聞こえてくれば、飛行機が近づいています。
この3つの単語がキーワードです!
それでは、次に「離陸編」です。
* 旅客機はコールサインと便名で呼ばれます。
便名は、時刻表を見れば表示されています。コールサインは、航空会社によって決まっています。
JAL:ジャパンエア、ANA:オールニッポン、JEX:ジャネックス、JAC:コミューター、IBEX:アイベックス
大阪空港の場合、99%がこの5社です。
上記例文の「ニッポンエアー」は架空のコールサインです。
*英文をクリックすると音声を聴く事ができます。
(音声はWMAファイルです)
*音声協力: Brenda Panichi