航空無線には興味があるが、どうも難しそうだ、という方のための初歩講座です。
大阪(伊丹)空港での交信シミュレーションを例にとって解説していきます。
初歩講座ですので、ここでは「管制塔〜パイロット」の交信しか解説しません。
ApproachやDeparture,Groundなどには触れません。
専門用語の解説も最小限にとどめました。
とにかく管制塔(Tower)の離着陸指示を聞き取ることが目的です。
「はじめの第一歩」です!
< 着 陸 編 >
さあ、まずは着陸の交信です。無線機の周波数を118.10MHzに合わせましょう。
管制塔(タワー)とパイロットの会話が聞こえてきます。(例文はすべてフィクションです。)
(1) Osaka Tower, Nippon Air 746, approaching IKOMA.
      「大阪タワー、ニッポンエアー746便です。イコマ・ポイントに接近中です。」
(2) Nippon Air 746, report Outer−marker.
      「ニッポンエアー746便、アウターマーカー通過時に報告してください。」

(3) Nippon Air 746, Outer−marker.

      「ニッポンエアー746便です。アウターマーカーに来ました。」

(4) Nippon Air 746, runway32right, cleared to land.

      「ニッポンエアー746便、32ライト滑走路への着陸を許可します。」
基本的には、これだけの交信で着陸してきます。いたってシンプルです。
では、簡単に解説していきます。
(1)大阪空港に近づいた飛行機は、必ず管制塔に連絡を入れます。
   そのタイミングは、「イコマ・ポイント」(生駒)または「ミドウ・ポイント」(御堂)です。
   まず大阪管制塔に呼びかけ、次に自分の便名を名乗ります。
(2)管制塔は、その飛行機に対して次の報告指示を出します。
   アウターマーカーというのは、無線標識の事で、進入コース上のポイントの1つです。
(3)イコマ・ポイントを通過して約3分後、アウターマーカー上空から報告が入ります。
   便名を名乗り、「アウターマーカー」と言うだけのシンプルな報告です。  
   ここまで来れば、もう千里川土手からハッキリと目視できます。
(4)さあ、いよいよ着陸許可です。
   通常の北風の時は、32レフト滑走路か32ライト滑走路。
   まれに南風が強い時は、14レフト滑走路か14ライト滑走路に許可を出します。
この流れが、基本中の基本です。
無線連絡は突然飛び込んできますが、あわてる事はありません。
航空無線は、必ず「復唱」しながら意志の疎通を徹底させますので、
始めの方を聞き逃しても、もう1度同じ内容を繰り返してくれます。
それでは、少しだけバリエーションを紹介します。
(5) Osaka Tower, Nippon Air 1045, 4miles to IKOMA.
      「大阪タワー、ニッポンエアー1045便です。イコマ・ポイントまで4マイルです。」
(6) Nippon Air 1045, runway32left, continue approach.
      「ニッポンエアー1045便、32レフト滑走路へ進入を続けてください。」
(7) Nippon Air 1045, approaching MIDOH.
      「ニッポンエアー1045便です。ミドウ・ポイントに接近中です。」
(8) Nippon Air 1045, runway32left,continue approach, wind 120 at 4.
      「ニッポンエアー1045便、32レフト滑走路に進入続行ください。
      風は方位120°方向から4ノットです。」

(9) Nippon Air 1045, over Outer−marker.
      「ニッポンエアー1045便です。アウターマーカー通過しました。」
(10) Nippon Air 1045, runway32left,cleared to land.
       「ニッポンエアー1045便、32レフト滑走路に着陸許可します。」
(11) Nippon Air 1045, taxi via Whiskey9, cross runway32right,
     contact Ground 121.7.

       
「ニッポンエアー1045便、W9誘導路を通って32ライト滑走路を横切り、
       121.7MHzでグラウンドと交信してください。」

(5)イコマ・ポイントまでの距離を言っています。内容的には、上記(1)と同じです。
(6)管制塔からの進入続行指示です。continueは、続けるという意味です。
(7)ミドウ・ポイントまで来れば、天候によっては目視可能です。
(8)管制塔が風向きと風速を伝えています。長い文章ですが、前半が聞こえれば充分です。
(9)overという言葉がつきましたが、内容は上記(3)と同じです。
(10) 32レフト滑走路へ着陸許可が出ました。3000mの長い滑走路です。
(11) 着陸機に対して、どういう経路を地上走行するかを指示しています。
    さらに、グラウンド管制官と交信するように指示を出しました。
    この後、グラウンドの指示でスポットへ進みます。
    「ウィスキー」というのは、アルファベットのWの事です。
    聞き間違いが無いように、こういう言い方をします。
* 滑走路を横切るというのは、非常に珍しい走路です。大阪空港の特徴の1つです。
   他の空港では、crossという単語はなかなか聞く事ができませんよ!
以上が、着陸機と管制塔の会話の骨子です。
無線に「アプローチ」、「イコマ」、「ミドウ」、これらの単語が聞こえてくれば、飛行機が近づいています。
この3つの単語がキーワードです!
それでは、次に「離陸編」です。
* 旅客機はコールサインと便名で呼ばれます。
   便名は、時刻表を見れば表示されています。コールサインは、航空会社によって決まっています。
   JAL:ジャパンエア、ANA:オールニッポン、JEX:ジャネックス、JAC:コミューター、IBEX:アイベックス
   大阪空港の場合、99%がこの5社です。
   上記例文の「ニッポンエアー」は架空のコールサインです。
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*英文をクリックすると音声を聴く事ができます。
        (音声はWMAファイルです)
*音声協力
Brenda Panichi